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カリフォルニアワインを中心にして長いことお酒を楽しんできました。これからはヨーロッパのワインやお酒を楽しむことに軸足を移していこうと考えています。
野中郁二郎・勝見明著『イノベーションの本質』
野中郁二郎・勝見明著
『イノベーションの本質』
(日経BP社)
0244180501

備忘記録。

●戦略立案の違い(GMとホンダ)
GEは、グローバルな競争環境はどのような状況にあるのか、過去三年間に競合相手は何を行い、その間自分たちは相手に対してどのような手を打ったか、市場、競合、自社を徹底的に分析して、将来、競合相手がどのような攻撃を仕掛けてくるかを予想し、それをいかに打ち負かすか戦略を立てる。これがGE全体に共有された基本的なクリエイティブ・ルーティン。
他方、ホンダでは、われわれは何のために存在するのかという存在論から始まり、ホンダの社会的役割とは何かを常に問い、商品開発も、自分たちは何のためにその商品をつくるのかを突き詰め、コンセプトを磨き上げて、具体的なスペックへと落とし込んでいく。コンセプトで車づくりの8割は決まる。これがホンダのクリエイティブ・ルーティン。

●サントリーのカラダ・バランス飲料「DAKARA」
相対価値よりも絶対価値を重視する。
ポカリ、アクエリアスという競合との比較よりも、真のコンセプトを見つけることに重点を置いた。
開発当初のコンセプトは「ポカリ、アクエリアスに替わり、水分補給性に優れ、現代人の味覚にマッチした本格的なスポーツドリンク」だったが、最終的には「ちょっとツライとき、不摂生不規則な生活から現代人のライフを守ってくれる、ちょっと頼りになるカラダ・バランス飲料」へと大きく変わった。

●スズキの50ccスクーター『チョイノリ』
従来車と比べ、部品点数3割減・重量4割減・締め付け箇所5割減、半値近い低価格を実現。
コストダウンは創造性よりも効率性を、絶対価値よりも相対価値を優先するため、知の世界とは結びつきにくいと考えられてきた。
しかし、コストダウンも、背後に本質的な哲学を背負ったときには、知識創造と両立しうることをスズキは示した。
チョイノリの場合、「排気量1cc=1,000円」という目標がまず設定された。
この目標の背後には、汗と油にまみれて築き上げてきた日本のものづくり文化を継承していかなければならないという企業としての意思、ビジョン、経営者の強い思いがあり、これは絶対価値の追求にほかならない。
他社にコスト競争で勝とうとする相対価値の追求はやがて消耗戦を強いられるが、自分たちの接待価値をめざすコストダウンは新たな知の創造を呼ぶため、他社の追従を許さない競争優位性を打ち出すことができる。

●数値目標
元気のある経営者の多くは、最後は数値で目標を表現する。
日産のゴーン氏は「日産リバイバルプラン」や「日産180」において明確に数値目標を設定した。
キャノンの御手洗氏はキャッシュフローの数値指標を最も重視する経営を行っている。
数字は、誰にもわかりやすい共通言語だが、ただの数字を掲げるだけでは誰も動かない。
その数字の奥にどのような深い意味があるのか、そして、どこで生まれたのか。
企業の意思、ビジョン、思い、チャレンジ、戦略・・・等々に裏付けられた現実にもとづいたとき、数字は組織に明確な目標志向を根づかせることができるのである。

●日本企業が抱える最大の問題
特にミドル以上の層が「分析マヒ症候群」ともいうべき症状に陥っている。
何かというとすぐ分析が始まり、「市場の状況はこうであり、競合他社はこういう状態にあり、したがって、我が社のとるべき最適なポジショニングは・・・」といった具合に傍観者のスタンスで仕事と関わる。
あるいは、自分の会社をことあるたびに批判する。
リストラが進む中で会社に対する信頼を喪失し、夢も思いもなく、ただ人事評価システムから外れないようにと上からいわれたことを要領よくこなしていく。
主体的な当事者意識の欠如、実存性の欠落、これが今の日本の企業が抱える最大の問題である。

●イノベーションの本質
自分は何をやりたいのか、そもそも自分は何のために存在するのか。
(存在論的な世界)
現場に行き、直接経験し、直感を働かせ、知覚する。
(直接経験して知覚するという認識論)
この二つの世界が合わさったとき、冷めた傍観者としてではなく、現実の中に自ら入っていく実存としての生き方が生まれる。
論理的思考や分析的思考をいかに磨いても、この境地に達することはできない。
経営の本質は論理でもなければ、分析でもなく、関わる人々の未来に自己を投企しようとする生き方そのものである。
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